ケイローンさんがやっとかいほうしてくれたので、ぼくたちジョナとバルと3人で流れ星を追って星星の間を走り回っていました。 ぼくはジョナパパに
― ゲク、その走りジョナと一緒やん。ボルゾイの走りとちゃうやろ、テッコテッコテッコテッコ走っとるやんかぁ。 と言われ、『そうかなぁ〜』と思います。 バルはゼンマイ仕掛けのようにピューっとすごい勢いで駆けると、パタッっと停まってはそのまま手足を伸ばして、五体倒地をします。 ぼくたちは喉が渇いたので、水の匂いのする方へ向かいました。 ぼくはしゅくだいの『放たれた矢は届かない』と言う、めいだいについて考えながらトボトボ歩いています。 バルは
―『ケイローンだ、小さきより小さき者よ』ってなによ。あたちをばかにしてるわ。気取ってへぇ〜んよねぇ〜っ。とジョナに言いました。 ―
へぇへぇ〜ん、洟垂れた矢なんてそんなおいしそうなもん、食べたら母ちゃんにまた怒られるもん。イデアもイドラも知らんしよう解から変もんねぇ。とジョナは言いました。 テケテケテケっとギァロップしてると大きな甕がありました。 ―
きみたち喉が渇いているのかい。とお兄さんが言いました。 ―
はい、かめのお水をのんでもいいですか?。 ― いいよ、でもきれいにのんでよ。アンフォラと言うんだよ。 ―
はい。ありがとう。 ― ほら、鼻を入れてうがいをしない。こらこら足を中に入れない。もう、縁を舐めない!。 ―
だって鼻水が混じったほうがおいしんだよぉ。とジョナが言いました。 ―
だってあたち首がないのよ。ってバルが言いました。 ぼくは鼻に水が触れるのが怖いので顔を上げました。 すると流れ星が飛んでくるのが見えました。 ―
危ないっ。 ― ボォコ。と言う音がして、上の縁から三分の一くらいのところまで割れて、穴が開いてしまいました。 ―
す・すげぇ。と言ってジョナは大きな水の塊の中で、甕の破片を振り回して遊んでいます。 バルは自分より大きな破片を引きずってカジカジやっています。 ―
こらぁっ!。そこの黒いの〜っ、その破片をもってきなさ〜いっ、はやく〜うっ。とリュウママがジョナを呼びます。 リュウ姉ぇが、はしゃぎまくっているぼくたちに、ガウガウガルルっと指導を入れました。 ―
ばっかじゃないの!。とジョナから破片を取り上げると、お兄さんに ―
どうもすみません。家の馬鹿息子が。とリュウママは謝りました。 破片は全部で8つありました。 みんなで甕を倒して水を流して、お兄さんが中に入って修理することになりました。 下のほうから順に一つ一つ重ねては内側と外から膠で張り合わせて、パズルのように積み上げていきます。 最後の縁の一番大きな破片を張り合わせるところで、お兄さんは外に出るのを忘れてしまいました。 ―
どうしょう。とお兄さんはいいました。 ― どうしようかて、割らんと出られへんやろ。とジョナパパが言いました。 ぼくたちは丸く固まって浮いている水溜りに突進したり、おしっこしたりをかけたり、ハグハグやったりしてそこいらじゅうにぶんまけました。 リュウママが来て
― こらっ!3悪!最低!、みんな退場!、退場!。っと叫びました。 第十二夜へ top |