第10回
紅梅が咲いた。
近所に旧用賀名主邸という所があって、毎年この辺りで1番の早咲きの梅の木だ。
凛として可愛らしい。
この旧用賀名主邸の周囲には植木畑があって
桜、木蓮、レンギョウ、ツツジと春の花々がめじろおしで、待ちどうしい。
遠目にタイサンボクがあり、
中華スープを取り分けるときに使うような巨大なレンゲの形の頂点が、
真直ぐ空に向かって花が咲く。
これを子供の頃、春休みの校庭で水場に浮かべて遊んだ。
去年はいっきに花が咲いた。
もうじき夜闇とともに沈丁花の香りが低く漂う。
前回お話したマルセル・プルーストの『失われたときを求めて』の映画化についての
文中誤りがあったので、訂正とお詫びをいたします。
映画『スワンの恋い』の監督をヴェルナー・ヘルツフォークと言ってしまいましたが、
フォルカー・シューレンドルフの間違いです。
なぁ~んか違う雰囲気だぁ~と思いながらキーボードを打っていたのですが、
ドイツニューシネマ三羽烏の一翼フォルカー・シューレンドルフを忘れていました。
ちなみにもう一人がライナー・ヴェルナー・ファスビンダー、これに
ダニエル・シュミットを加えていつかお話したいと思っている。
『遠い島ガダルカナル』 半藤一利
前作『ノモンハンの夏』は以前少し触れたが、
当時いわゆる"失われた10年"について語られているときに出版された。
それから3年が過ぎて『Voice』に一昨年7月号より昨年12号まで18ヶ月連載された。
雑誌連載のせいかノモンハンに比べ、
語調は軽いく作戦失敗の背後にある本質的問題のあぶり出しに欠けるのは否めない。
また昭和天皇についての言及も多いがこれは、
最近内外から幾つか出版されているものへの半藤氏のスタンスであろうか。
このあとインパールが用意されているらしい
小島祐二