第三夜

ふたご座 ― エコーの本当は

登場人物―ふたごの一、ふたごの二、ぼく、ザク、ザクのおかあさん


今日はザクちゃんがおかあさんと遊びに来ました

ザクちゃんはせいぶつがくてきに言うとおかあさんが同じおにいさんです

ザクちゃんのおかあさんは お父さんとお母さんといっしょに働いています

ひるま ずっとプロセスごっこをやってたのでお布団に入るとすぐに寝てしまいました

― こんにちは、双子さん

― やぁ、で、どっちに言ってるの。

― あのう、どっちって言われても、ふたりにです。

― こんにちは、ゲクラン。

    ― こんにちは、ゲクラン。

― うぁあ、こだまみたい。

― そうさ、エコーって実は、ぼくたちのことなんだよ。

    ― そうさ、エコーって実は、ぼくたちのことなんだよ。

― なんだかお話してると耳がグルグルして、頭が痛くなってきちゃった。

― それを我慢しなきゃ。・・・・しなきゃ。

― ぼくたちみんなが最初は一つだったって言うプラトンの話は、お父さんから聞いただろう。・・・・・だろう。

― うん、乱暴だったんだよね。 だから体を二つにして考えさせるように、神様がしたんだよね。

― それから、お互いに見張ったり、注意しあったり、相談したりするようになったんだよ。・・・・なったんだよ。

― ぼくのもう一方は、どこにいるのかなぁ。

― それは、ゲクランの中にいるんだよ。誰だってそうなんだよ。だから何かあったときとか、お母さんに怒られたときとか、楽しいときとかいつでも、もう一方の声に耳を傾けて、よぅーく考えて話し合うんだよ。そうすると頭が良くなるよ。・・・・くなるよ。

― ほんと。だいがくにもいける?。

― いけるさ、一生懸命、毎日まじめにやれば、聖人にだってなれるよ。難しいけどね。・・・・いけどね。

もうぼくは頭の中が、こだまして苦しくなってきました。

― じぁ、ありがとう。ふたごさん、さようなら。

― うぅん、でどっちに言ってんの?。

― 二人にです。

― さよなら。

― さよなら。・・・・・・。・・・・・・。

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