お父さんと駆けっこをしながら、星の王子さまの星へ降りてかくれんぼをしました。 星の王子様の星は小さくて、バウバウの木とおうちしかないので、お父さんが隠れてもすぐ見つけられます。 ―
ねぇ、お父さん、星の王子様いないね。 ― いないね、飛行機で出かけちゃったのかな?。 ―
ざんねんだなぁ、会いたかったんだけど。 ― また来ればいいじゃん。さあぁ、いこうか!。 ―
ねぇ、お父さん。星の王子様は、なんていう名前なの。 ― 名前ねぇ〜、知らない。あったっけ?。 ―
名前なかったらふべんじゃない。 ― でも、独りで住んでるから。不便じゃないとおもうよ。 ―
独りで住んでるとさみしいよね。 ― うん、寂しいと思うよ。だから友達を探しに地球に来たんだよ。 ―
でもさぁ〜、あんな小さい星になんで住めるの?。お店もなかったよ。 ―
いま飛行機で買い物に行っているのかも。 ― そうかなぁ〜。―
ほら、おとぎの世界のお話だから。 ― ねぇ、ねぇ、ぼくたちおとぎの世界にいるの。うわぁあ、すごいなぁ〜、すごいなぁ〜、ねぇ!ねぇ!。 ―
こないだアリスに会ってきたって言ってたじゃん。 ― ああ、あれね。うさぎを追いかけて、ひどいめにあったよ。アリスは生意気だし、なぁ〜んか変なのがいっぱい出で来てこわかった。それにお姉ちゃんのえりまきつけて、いばりちらしたおばさんにぶたれそうになった。あのおばさんも蚊に刺されてお腹がかぶれちゃったのかなぁ〜。お姉ちゃんもあれつけてるとき、すっごく怒りぽかったね。 お父さんとぼくは、また夜空で駆けっこをします。 ―
ゲクラン、はやくなったなぁ〜。すぐ追いつかれちゃう。ハァハァとお父さんが言います。 ―
あぁ、天秤があるよ。ほらゲクラン、乗って。 お父さんはぼくを片方のお皿の上に乗せると、向こうのお皿をつかんで走りました。 天秤が回り始めぼくは怖くなって
― こ・こわいぃー。っと叫びました。 ― なぁ〜んだ、こわがり君だな。しょうがない、じゃ待ってて。 と言うと小さめの星を捕まえてきて、向こうのお皿に乗せて戻ってくると、押して天秤を回し始めました。 グングンスピードがつくとお父さんはお皿に上がり、今度はお皿を支えている綱を持ってブランコのように揺らしました。 ―
ゲクラン!、メリーゴーランドだよ。とお父さんが言いました。 星たちがグルグル回って、グラグラ揺れます。 ぼくはしっかりお父さんのズボンを噛んでいます。 どんどんスピードが上がって、お皿の星が飛んでいきました。 ―
ほら、流れ星を追いかけるぞ。と言うとお父さんは綱から手を離しました。 ぼくたちはすごい勢いで飛び出すと、土星を回って流れ星の尾っぽを掴みました。 ―
ゲクラ〜ン〜、いっぱい願い事を言えるぞぉ〜。 ― 明日も晴れてくださ〜い。なぁ〜んだ、そんなことでいいのかぁ〜。おいしいのスモークチーズでご飯を食べた〜い。ダイビングに行きた〜い。 お母さんとお昼寝したぁ〜い。してるよ。・・・・・・。 第八夜へ Tope |